大阪地方裁判所 昭和49年(わ)483号 判決 1974年5月23日
本籍
広島県呉市吉浦中町三丁目一五番地
住居
大阪府松原市阿保三丁目四番二九号
開業医
中原寛二
大正一三年八月四日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官安部正義出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役六月および罰金六〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
起訴状記載の公訴事実のとおりであるから、ここにこれを引用する。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の検察官に対する供述調書
一、被告人の収税官吏に対する質問てん末書七通
一、石井マサ子、片山保の検察官に対する各供述調書
一、中原典子の収税官吏に対する質問てん末書
一、大西昌弘作成の供述書
一、長谷川義博、辻村義雄作成の各確認書
一、株式会社大和銀行総務部株式係作成の株主配当金の照会について回答と題する書面
一、住友信託銀行証券代行部(担当者藤井)作成の株主配当金の照会について回答と題する書面
一、富士通株式会社(担当総務部文書課大島)作成の株主配当金の照会について回答と題する書面
一、国税査察官丸尾真一作成の調査報告書四通
判示第一の事実につき
一、八尾税務署長江田精治作成の証明書(但し昭和四五年分所得税申告書写の分)
判示第二の事実につき
一、八尾税務署長江田精治作成の証明書(但し昭和四六年分所得税申告書写の分)
(法令の適用)
所得税法二三八条一項(懲役刑と罰金刑を併科する)、刑法四五条前段、四七条、四八条二項、一八条、二五条一項一号
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 橋本達彦)
昭和四九年検第二三一五号
起訴状 在宅
左記被告事件につき公訴を提起する。
昭和四九年三月七日
大阪地方検察庁
検察官検事 田辺信好
大阪地方裁判所 殿
本籍 広島県呉市吉浦中町三丁目一五番地
住居 大阪府松原市阿保三丁目四番二九号
職業 開業医
氏名 中原寛二
年令 大正一三年八月四日生
公訴事実
被告人は、松原市阿保三丁目四番二九号で耳鼻咽喉科医院を営むかたわら、手形割引・不動産賃貸等も行なっていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、
第一、被告人の昭和四五年分の所得金額が三九、一二二、六九八円で、これに対する所得税額が一九、二八〇、六〇〇円であるのにかかわらず、金融業者の外務員を介して手形割引及びその手形金の取り立てを極秘に行ない、これによる雑所得のほか配当所得及び不動産所得を所得税確定申告書に計上しないで、右所得金額のうち二五、四二八、〇五一円を秘匿したうえ、昭和四六年三月一五日、八尾市所在八尾税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一三、六九四、六四七円で、これに対する所得税額が四、四〇六、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一四、八七三、九〇〇円を免れ、
第二、被告人の昭和四六年分の所得金額が三八、〇八六、八四八円で、これに対する所得税額が一八、一五二、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為のほか割引いた手形の手形金取り立てを仮名預金により行なうなどの行為により、右所得金額のうち二三、二六九、八九六円を秘匿したうえ、昭和四七年三月一五日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一四、八一六、九五二円でこれに対する所得税額が四、六一二、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一三、五四〇、三〇〇円を免れ
たものである。
罪名及び罰条
所得税法違反 同法第二三八条